PROJECT

PROJECT STORY

project story

“今までにない”に挑み続ける

01

小型軽量化と高効率の両立


不可能を超えて生み出す新製品

テラルの主力製品の一つである給水ポンプユニット。
販売開始から約40年の時を経て、持続可能な社会への貢献も視野に入れた新製品開発への挑戦が始まった。

MEMBER

和田 直樹

和田 直樹

技術部 設計2課 S2グループ

早川 巳治裕

早川 巳治裕

技術部 開発1課

中原 利博

中原 利博

技術部 開発2課

宮野 雄介

宮野 雄介

技術部 開発2課

小倉 源貴

技術部 開発2課

市場価値を高め
トップクラスの効率化に挑む。

給水ポンプユニットとは、マンションやビル、工場など、広範囲または高層階まである建築物において、水道管の水を各戸へ送水する装置のこと。水を最適に使うために必要な水圧を補う役割を担っている。テラルでは1975年に業界初の給水ポンプユニットを開発。以降、コストダウンや性能改善が行われてきた。
しかし、ポンプ業界を取り巻く社会環境や顧客ニーズも大きく変化し、今の時代にあった給水ポンプユニットの開発が急務となった。そこで立ち上がったのが、次世代ポンプユニット“MC5型”開発プロジェクトである。新製品開発において最も重視されたのは、製品の高効率(=環境に配慮した設計開発)化。これはTriple e「高効率な製品で、省エネを実現し、地球環境を守る」という企業コンセプトを掲げるテラルだからこそ、クリアすべき課題であった。また一方で、顧客からは小型軽量化や静音化といった要望も多く、「小型軽量化と高効率化をいかに両立できるか」難題への挑戦が始まった。

相反する事項の両立。
その先に新たな価値を見出す。

開発プロジェクトの各部門担当者が集められた会議室には、前機種“MC4型”の部品がすべて並べられ、一つひとつ部品の見直しが行われた。小型軽量化を達成するには、部品の点数の削減や、素材の見直しが必要である。しかし、部品を減らすことは既存の機能や役割を“捨てる”ことになりかねない。「この部品にはどういう機能が必要かをとことん追求した。ここを0.5mm薄くしたら軽くなるとか、材料をこちらに変えたら費用が抑えられるとか。小さな積み重ねが成果に繋がった」と語るのは、プロジェクト全体のリーダーを務めた和田である。機能性追及のため、海外グループ会社やテラルOB、また部品メーカー等の取引先にも意見を聞き、協力を仰いだという。
「給水ポンプユニットは、ポンプや制御盤、配管、筐体※1などの様々な製品が組み合わさってできている。私はユニット※2のレイアウトや筐体の製造を担当する一方で、リーダーとして全体のまとめ役も担っていた。ポンプ担当者より『こうしたい』という要望があっても、ユニット全体で見ると『それはできない』ということもある。そんな時に最も大切となるのは、メンバー全員がゴールを目指して同じ方向を向いていること。テラルには各部門それぞれに、高い知識と技術をもったプロがいる。そのため、意見がぶつかることももちろんあるが、設計は製造が作りやすいものを、製造はできるだけ設計通りの製品を作れるようにと全員の知恵を集結させた」。
先輩社員と共に検証試験に携わった小倉は「検証試験を担当していて、すべてが上手くいったわけではなく、試行錯誤することも多かった」と当時を振り返る。設計上のシミュレーションでは上手くいっていても、実際に組み立てると設計通りの結果にならないということもあり、破棄した試作品も多くあるという。「MC5型は静音化も重視した製品。ポンプの運転音を外部に漏らさないよう、筐体と表面フタの隙間をなくす方法について提案すると採用された。若手社員の案でも、効果があるならば積極的に採用してもらうことができ、自信になった」。

  • ※1 筐体:機械や電気機器などを入れる箱のこと
  • ※2 ユニット:ポンプや制御盤、配管、筐体などの総称

積み上げてきた研究成果が
最大限に活かされる。

技術部と製造部、生産統括部が一丸となって約2年間続いたプロジェクト。「今のままでは発売できない」と厳しい声が飛んだこともあったと言う。掲げられた高い目標値達成には、100年以上にわたり積み上げてきた実績、研究成果に裏付けされた新たな技術や知識が存分に活かされた。
「トップクラスの高効率を実現できたのは、今までの基礎研究の積み上げがあったからこそ」と語るのは、前機種から給水ポンプユニットの開発に携わっていた早川である。「小型化と高効率は本来相反する事項。それを可能にしたのはテラルで以前から行われていた“世界最高効率ポンプ設計”の研究実績があったから。高速回転をする時の技術研究、小型化した時の最適技術の研究は、今回のMC5型の高効率化に最大限活かされた。各部品や流路構造ごとに損失が発生する点や、その損失を低減させる方法についても研究成果が活用された。
また配管周りの設計を担当した中原は「特にポンプのメンテナンスに用いるバルブユニットは、従来から画期的なテラルオリジナル製品として知られていた。しかし、近年の市場では、ポンプや配管材質にステンレスを使用する動きが見られた。テラルのバルブユニットも市場ニーズにあわせてステンレス化できないか。有識者の方にも相談しながら、開発に取り組んだ。最終的にはステンレス化を実現できただけでなく、高品質、軽量コンパクト化といった付加価値をつけることができた」と語る。また開発当初には新しいバルブの構想について特許出願を行ったが、実現には至らず悔しい思いをしたという。「いつか実現させる」と中原はさらなる研究への意欲を見せている。
MC5型は、ポンプの高速回転による小型化に加え、主要配管をステンレス化し、各部材の肉厚を最適化したことで大幅な軽量化が実現された。各部門で社員一人ひとりが最善を尽くし、部署の垣根を越えてテラルの力が結集されたことにより、従来型に比べて消費電力を30%削減、重量は最大32%ダウン、騒音が最大5dBダウン、そして低振動を実現した。

若手社員の活躍が
テラルを動かす。

プロジェクトに参加したのはベテラン社員だけではない。当時新入社員だった小倉は「入社してすぐにこのような大きなプロジェクトに参加させてもらえたことは、今後の財産となる貴重な経験だった。プロジェクトを通して社内外のネットワークが広がり、それぞれのプロフェッショナルの方々から刺激を受けて、自分自身成長できた。若手にも多くのチャンスが与えられるテラルの魅力を実感したと語る。
また、MC5型の制御盤は、表示器に液晶ディスプレイを採用し、ユーザーインターフェースは一から再設計した。制御盤の設計開発を担当した宮野は、入社3年目の時にプロジェクトメンバーに抜擢。「先輩社員が設計したものでも“若者の感覚”を伝えようと積極的に意見を出し、目標達成に向けてやり切った」と話す。その結果、ユーザー目線での開発により操作性の面でも高い評価を得た。
制御盤だけでなく、すべての分野において若手の意見は議論を活発にさせた。そこには若手の挑戦を後押しするテラルの社風が反映されている。

「これ以上のものはない」
妥協なき姿勢が生んだ新製品。

一号機完成のセレモニーは和田をはじめ、関わったメンバーの心に強く残っている。早川が言う「ただ作業するのではなく、自分がやりたいことを実現する開発」により生み出されたMC5型は、環境負荷の低減に配慮したすぐれた製品・サービス(エコプロダクツ)に贈られる「エコプロダクツ大賞 審査委員長特別賞(奨励賞)」を受賞した。
営業部からも「自信をもってアピールできる製品であり、顧客訪問のきっかけとして大いに活用している」という声が聞かれた。
「今もてる力のすべてを出し切った」「今はこれ以上のものはない」と胸を張るメンバーだが、その眼は目まぐるしく進化する技術の、その先にある可能性を常に見据えている。

  • 本ページに掲載されている製品の実績等の情報は、開発当時のものです。